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Gプレスインタビュー

2011.April | vol.94

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「スター」とは何か。

放送作家
 

鈴木 おさむ さん

スズキ オサム
1991年放送作家デビュー。
以来、CX「SMAP×SMAP」「笑っていいとも!」、TBS「中居正広の金曜日のスマたちへ」、EX「クイズプレゼンバラエティQさま!!」「いきなり!黄金伝説。」など、数多くの番組を手がける。
その他にもラジオ、雑誌連載、ドラマや映画、舞台の脚本、著書なども多数執筆しており、活動は多岐に渡る。
OA中のTBS金曜ドラマ「生まれる。」の脚本も担当。

復興、変革…そんな言葉が飛び交う毎日。2011年3月11日に起きた東日本大震災によって、日本という国は、文化、経済、精神…あらゆる面において大きく「変化」していくにちがいない。そしてその一方で、「それでもなお変わらないもの」も浮き彫りになるだろう。
さて、テレビ番組というコンテンツはどうだろう。震災後数週間にわたり編成が混沌をきわめたなか、こんな時期だからこそ生まれた珠玉の番組もあった。3月21日、震災特別番組として生放送された『SMAP×SMAP ~いま僕たちに何ができるだろう~』もそのひとつ。人々の心を揺らす番組はどうやって作られるのか、「スター」とはどんな人のことか。
当番組の仕掛け人である、放送作家 鈴木おさむさんに、お話をうかがってみました。

―『SMAP×SMAP』特別企画の生放送をみて、やっぱりSMAPはすごいなぁと感じました。

『SMAP×SMAP ~いま僕たちに何ができるだろう~』の企画にあたっては、当初、様々な賛否がありました。こんな時期に、しかも生放送で…と。確かに、リスクはあります。でも、SMAPもスタッフもみんな、「こんな時期だからこそ、地震のことを正面から話そう」という気持ちの方が強かった。結果、みんなで考える番組を、生放送することになりました。
僕らが、SMAPというスターを起用するときは、そこに「何らかの奇跡」が起きることを信じて番組を作るんです。おそらく、SMAPが出る番組に視聴者がくぎ付けになる理由も、そこにあるのではないでしょうか。期待があるからこそ、心を躍らせながら番組を見るわけです。そして、それができる限られたタレントのことを、「スター」と呼ぶのだと思います。

―SMAPという「スター」が、より大きな奇跡を起こす装置として「生放送」にこだわったのですか?

いいえ。そういうことは考えませんでした。あの時期、様々な風評の影響で、タレントやセレブと呼ばれる人も含め、多くの人たちが海外や関西方面へ避難していきました。そんな世の中に対して「SMAPは、今、東京にいる」という事実を発信したかった。だから、あの番組は、生放送でないといけなかったんです。
そもそも、番組作りとして、生放送だから奇跡を起こす可能性が上がるというものでもなく、そこは出演者に負うところが大きいです。それが出来るのは、たくさんいるタレントのなかでも一握りです。

―最近、「中堅スター」はたくさん出てくるけど、「ビッグスター」がうまれない、とよく言われます。

「ビッグスター」って、ちょっとワルかったり、破天荒だったりするイメージありません?今は、良くも悪くも、みんな真面目なんですよ。要求される仕事のクオリティが上がったため、真面目にならざるを得なくなった、ともいえます。また、かつては番組に「出る人」だったアイドルが、今や番組を「やる人」になったことも、関係あるかもしれません。1996年スタートの『SMAP×SMAP』は、大きな転換点でした。今はもう、アイドルが番組をもち、歌からコントまでこなすことが、若い世代にはスタンダードになりましたよね。
加えて、「この人をスターにしよう」と周りが意図的にプロデュースしてくれた時代と違い、今はセルフ・プロデュースの上手下手が、タレントの成否を決める重要な要素になっています。

―どんなセルフ・プロデュースが必要なのでしょう?

芸人さんを例にしますと、ある程度売れてきた、その後が問題なんです。
売れてくると、仕事のオファーも増えます。どんどん仕事を引き受け、あちこちの番組に出るようになる。でも、「たくさんの番組に出ること」は、「その芸人の価値を上げること」とイコールではありません。そこに気づいていない芸人さんが多いのです。たとえば、視聴率の良い番組にたくさん出ても、その芸人が視聴者の記憶に残るかどうかはわからない。出演番組を減らしてでも、3日間のハードなロケに参加して、10分でも特集コーナーを組んでもらう方が、視聴者の記憶には残るかもしれない。「よく見るタレント」になるのか「見たいと思われるタレント」になるのかを、自らがよく考え自分をプロデュースしなくてはいけないのです。
とはいえ、実はテレビって、生まれてまだ、たった60年の新しいメディアなんです。そこに登場する芸人もスターも、そして世の中のニーズもどんどん変わっていくでしょう。これからまた、新しいタイプの「スター」が出てくるかもしれませんね。

―本日は、お忙しいところ興味深い話をいただき、ありがとうございました。

気になるテレビ語 groovy word on TV

『金八先生』


3月27日。ある一人の教師が、定年退職を迎え、その教師生活に幕を下ろしました。
今回のテレビ語は、その教師を主人公にしたドラマ『3年B組金八先生』を取り上げます。TBSで1979~2011年まで断続的に放映され、8作に及ぶテレビシリーズと15本以上のスペシャルと特番が放映されました。各シリーズで取り上げるテーマは、受験戦争、校内暴力、いじめなど、その時代とリンクした様々な社会・学校問題を織り交ぜています。そんな次から次に降りかかる問題を、金八先生が時にやさしく、時に熱く、叱咤激励しながら、常に生徒の一番近くで(まれにその生徒の親よりも近く)一緒になって問題を解決していく姿が、金八スタイルではないかと思います。
最後の放送となった『3年B組金八先生ファイナル~「最後の贈る言葉」4時間SP』では、近藤真彦や亀梨和也、杉田かおるなどの卒業生達も出演し、金八先生の"卒業"に華を添えました。
検索数も「金八先生」が6,876、「金八」が6,852となっており、放送日の検索数は1,146にも上り、視聴率も平均で19.7%、瞬間最高で27.6%を記録しました。時代や世代を越えて、ここまで多くの人間(視聴者も含め)に愛された先生は、いくらドラマの世界とはいえ、日本中を見渡しても「金八先生」くらいではないでしょうか。


『Gガイドモバイル』ユーザ検索ログデータより 集計期間:2011/3/1-3/31

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