コスギ ヨシノブ
1976年日本テレビ入社。「クイズ世界はSHOW・BYショーバイ!!」「夜も一生けんめい」「24時間テレビ」「家なき子」「金田一少年の事件簿」「星の金貨」「恋も2度目なら」などバラエティにドラマにと多岐にわたりヒット番組をプロデュース。
1996年には日本映画プロデューサー協会エランドール賞を受賞。
編成局編成部長、営業局ネット営業部長、営業局次長、営業局長、編成局長を歴任し、2008年日本テレビ執行役員就任。
2009年6月、株式会社日テレアックスオン代表取締役社長就任。
ここ数年、広告収入の減少に伴い、テレビ番組の制作費は大きく削減された。一方で、テレビ放送の多チャンネル化、インターネットテレビ、スマートフォン、タブレット端末の普及により、映像端末は多様化の一途にある。
そんななか、テレビ番組制作会社は一つの岐路に立っているといえる。日本にテレビが普及したおよそ60年前から、テレビという絶大な影響力をもったメディアを通じて、この国のジャーナリズム、エンターテインメントをつくり上げてきたテレビ番組制作会社。彼らは、今何を考え、どこに向かおうとしているのか。
株式会社日テレアックスオン代表取締役社長、小杉善信さんにお話をきいてみました。
―2009年に小杉さんが社長に就任した際、「企業理念」を新しく作った意図を教えてください。
「我々がどこに向かって進んでいくのか」の宣言です。
それまで当社には「企業理念」というものがありませんでした。裏返して申せば、そういうものがなくても経営に何ら支障なくやってこられた、ということです。しかし、ご存知のように、もはや、親会社である日テレからの仕事を待っていればよいだけの時代は終わりました。日テレの番組制作はもちろん最も重要な仕事ですが、それ以外の仕事もどんどん仕掛けてやっていかなくてはなりません。
精神的には、テレビ番組制作会社から映像コンテンツ制作会社へと脱皮しなければいけないと思っています。そういう意味で、私たちは世の中に何ができる会社なのか、何をすべき会社なのか…一度原点に立ちかえって自分たちの立ち位置や可能性を見つめなおすべきだろうと考えました。それで、「理念」「ビジョン」「スタイル」という3つのレイヤーを、言葉にしてみたのです。
―企業理念である「ニーズを カタチに」の「ニーズ」とは、具体的にどんなことを指しているのでしょうか。
私たちが制作する映像に関わる人や企業のすべてのニーズ、ということです。
たとえば、テレビ番組の制作であれば、発注者である放送局のニーズもあれば、番組を見る視聴者のニーズもあります。それらをすべて咀嚼してカタチにするということです。一見当たり前のことですが、ともすると、発注者に言われるがままに作っていればよい、という受動的な仕事になりがちです。そうであってはいけません。
自分で考えアイデアを出し、よりよいものを提案していく姿勢を、どんな仕事に対しても持たなければいけません。そうでなければ、生き残ってはいけない時代。
逆にいえば、それができる会社になれば、テレビ番組制作だけでなく、あらゆる映像制作の仕事を自在にできる会社に進化していけるはずです。
「ニーズをカタチに」という企業理念には、そういう思いが込められています。
―CM、携帯動画、スマートフォンアプリ等、テレビ番組制作以外の仕事も既にたくさん手がけていらっしゃいますね。
おかげさまで、徐々にではありますが、成果を出してきています。本業であるテレビ番組においても、TBSやMBS番組の制作や、NHKのスポーツ中継も担当させていただきました。テレビ以外では、BeeTVの番組制作、企業様のCM制作、任天堂3DSの3D映像コンテンツ等々。これら、いわゆる新領域の仕事に取り組めた背景には、当社が長年培ってきた、あるいはいち早く取り組んできたノウハウと実績があったからこそだと思っています。たとえば、私たちはスポーツ中継に強い自負と実績があります。多チャンネル化すれば、様々なスポーツコンテンツの中継が「ニーズ」としてあるわけでして、そこに私たちの大きなチャンスがあると考えています。また、今話題の3D映像に対しても、機材メーカーといち早く連携し、他社に先んじて取り組んでまいりました。その先行ノウハウがあるから、任天堂3DSの映像制作も担当させていただくことができたのでしょう。
―理念の大切さもさることながら、それを実現する「機敏な体質」というのも重要なわけですね。
その通りです。弊社の「People Style」として、『生き生き きびきび 面白まじめに』というスローガンを掲げています。
とにかく、「スピード」が大事である-これを全社員に徹底しています。どんなにいいアイデアを生んだとしても、それをスピーディに[提案]し、アグレッシブに[実行]していく力がなければ、映像を世の中に送り出すにいたりません。私たちの仕事は、「映像というカタチにしてなんぼ」ですから。そのためには「スピード」がとても重要です。そして、スピーディであると同時に、クオリティが高いことは大前提。『面白まじめ』という言葉には、一途にエンターテインメントとジャーナリズムを両立したいという思いが込められています。ハイクオリティなエンターテインメントとジャーナリズム―これは、テレビ番組制作会社が今までずっと大事にしてきたものですし、これからも見失ってはいけないものです。テレビ番組制作会社から映像コンテンツ制作会社に脱皮していったとしても、そのDNAだけは「全員クリエイター主義」でしっかり受け継いでいかなければなりません。
―本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
気になるテレビ語 groovy word on TV 『aiko』
メジャーデビュー13年目のあの女性歌手が、満を持して初のベストアルバム『まとめⅠ』と『まとめⅡ』を同時にリリースしました。今回のテレビ語は、その女性歌手『aiko』を紹介します。
ポップでキャッチーなメロディーと、aiko節ともいえるその独特な擬音語や、少女マンガをも彷彿とさせる恋愛の世界観を描写した歌詞が、10~20代を中心として幅広い年齢層に支持されています。ベストアルバムといえば、過去のシングルコレクション的な要素が強いものが多いですが、『まとめⅠ』『まとめⅡ』の収録曲は、すべて彼女が選曲しています。ここに彼女のファンに対する感謝の気持ちや、心遣いを感じることができます。ある音楽番組のインタビューでも「友達のために好きな曲を一生懸命選んでつくったカセットテープ」と答えたように、時間をかけて悩み、再録曲や未発表曲を含みながら、ファンのために選曲している彼女の姿が浮かんできます。各局の音楽番組や日本テレビ『Music Lovers』に二週連続(2/20、2/27)で出演するなど、検索ランキングも982(1月)→5,122(2月)とジャンプアップ。
「音楽が何かを救える、すごく大事なものである」‐aikoの歌う恋の歌からは、そんな想いを感じることができます。
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