カミヤマ タカシ
1987年 国際電信電話株式会社(現KDDI)入社。
海外調査部門、経理部門、電話サービス企画部門などを経て、2002年から8年間、携帯電話向けコンテンツサービスの企画業務に携わる。
着うた、着うたフル、LISMOの立ち上げに関わる他、FMケータイ、ワンセグといった放送通信連携サービスの企画推進を行う。
本年10月より現職。CATV業界との幅広い連携により、携帯電話とテレビという2大スクリーンを介した新たな生活体験の提案を模索中。
KDDIは、かねてよりCATV(ケーブルテレビ)事業に力を入れている。
JCNを子会社化し、業界第一位のJ:COMもグループ会社とするなど、さまざまな取り組みを行ってきたKDDIが、この10月1日、「CATV事業推進本部」という新しいセクションを立ち上げた。通信会社として、巨大なインフラとネットワークを持つ当社が、CATV事業にさらなる積極的な事業展開を行っていくことは、通信業界、CATV業界だけでなく、コンテンツ制作や広告の分野の会社にも大きな話題を呼んでいる。
通信事業とCATV事業はどんなコラボレーションが可能なのか。新設されたCATV事業推進本部のCATVメディア戦略部長、神山隆さんにお話をうかがいました。
―電話、インターネットのインフラを持っている御社が、あらためてCATV事業に力を入れていこうとしている理由を教えてください。
私たちから見て、CATVのアクセスインフラはとても魅力的です。
電話やインターネットに比べて、CATVのインフラ力は落ちるのではないかと感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
現在、約700万世帯がCATVに加入しています。また、すでに家庭内まで回線が届いていて配信可能になっている世帯はこれにとどまらず、2300万世帯以上。さらには「ホームパス」といいまして、いわゆる「軒先まで回線がきていて工事さえすれば視聴可能」という世帯まで含めますと、4400万世帯になり、全国の9割を占めることになります。
つまり、「量」の側面だけ見ても、CATVは巨大なインフラ力を持っているといえます。
―CATVの場合、地域密着のローカルインフラとしての特徴が強いですよね。
その通りです。その「地域密着」「生活密着」である点が、CATVの最大の特徴であり、武器なのです。「無縁社会化」が嘆かれる昨今ですが、改めてリアルな人肌を感じられる地域コミュニティーの重要性が再認識されつつあるように思います。地域行政サービス、高齢者支援といった、その地域毎の行政、生活、産業に密接に関わりながら社会の発展に貢献していくメディアが、これからの時代、重要な役割と影響力を持つようになってきます。CATVのコミュニティチャンネルは、その中心を担うメディア。地上波のテレビや携帯電話のようなマスメディアでは実現できないコミュニケーションが、コミュニティチャンネルでは可能です。
しかし一方で、地域密着インフラゆえに不可能なこともあります。たとえば、私たちが携帯電話ユーザに配信しているコンテンツサービス。メジャーなコンテンツをユーザに無料または格安で提供できるのは、「規模のメリット」があるから実現できることでもあります。それを、CATVのコミュニティチャンネルのコンテンツとして私たちが提供することで、新たなwin-winなスキームを構築していけるのではないかと考えています。
―「メジャーなコンテンツ」をCATVへ提供していくと。
KDDI製作の映画『ラブコメ』は、その新しい取り組みのひとつです。auの携帯、LISMO Channelで配信した携帯ドラマ『Sweet 9 Flowords~愛しい9の花言葉~』をプロローグとして視聴することで、より映画『ラブコメ』を楽しめるという企画とあわせて、映画公開直後の10月10日に、全国83社(視聴可能世帯1650万世帯以上)のCATVのコミュニティチャンネルで放送されました。
視聴者の興味は、まずはメジャーなコンテンツから入っていきます。誤解を恐れずに申し上げれば、コミュニティチャンネルにどれだけ素晴らしい番組があったとしても、「第一にコミュニティチャンネルの番組を見たい」という視聴者は少ないと思うのです。地上波の番組から入り、次にBS、CS、コミュニティチャンネルはその次…というのが大方です。
『Gガイドモバイル』には、地上波やBSの最新コンテンツが掲載されているから、これだけたくさんのアクティブユーザがいるわけですよね。たとえば、そこに集まる"テレビファン"の人たちにアプローチすることで、良質なCATVの地域コンテンツに興味を持ってもらうこともできるでしょう。
様々な形のコラボレーションを、今後は積極的に展開していきたいと考えています。
―さまざまな連携で、CATV特有のコンテンツも、より視聴者に届きやすくなりますね。
「マス×コミュニティー×パーソナル」。
この事業のキーワードを私たちはこのように捉えています。
「格差社会」が広がる中、マスメディアやネットワークを中心に、個人と社会とがつながっている「マス×パーソナル」な状況はあまり健全ではないと感じています。右肩上がりの経済成長が見込めなくなった日本の社会において、個人がいきなり手の届かないマスの情報に接して感じるのは意欲より無力感ではないでしょうか?マスメディアで提示されたいわゆる「世の中」の情報をリアルに手の届く「地域」の情報に置き換えて展開し、「個人」の多様な嗜好を充足していくコミュニティメディアの果たす役割は今後ますます大きくなりますし、生活者とのコミュニケーションの在り方もこのような形に変わって行くように思えます。「新潟美少女図鑑」がそのよい例だと思います。
CATVとKDDIが幅広く手を携え、有機的に機能していくサービスを作り上げていったとき、「マス×コミュニティー×パーソナル」が統合された新しいコミュニケーション・プラットフォームが生まれるのではないか。そんなことを、わりと長期的な視点で私たちは考えています。
―本日はお忙しいなか、興味深いお話をありがとうございました。
気になるテレビ語 groovy word on TV 『モテキ』
ある日突然、次から次へと異性から連絡がきたり、いろいろ誘われたり…そんなことないですか?そんなことなかったですか?人間に一度は訪れるといわれている「モテ期」が!(私は三度ときいたことがあります)。
今回のテレビ語はそんな「モテ期」をテーマに描いたドラマ、その名も【モテキ】を紹介します。
【モテキ】は売り上げが150万部を突破した、【久保ミツロウ】原作の人気コミックをドラマ化したもので、テレビ東京の【ドラマ24】枠で7/16~10/1の期間に放映されていました。検索数は深夜帯の番組にもかかわらず6,742(7月)、5,821(8月)、9,038(9月)となり、ドラマが佳境に入るとともに検索数もググッとアップ!また最終回(10/1)の日の検索数は435で、ランキングも前日の100位圏外から22位までランクアップ。注目度の高さを表す結果となりました。原作同様、各話のタイトルは「格好悪いふられ方」や「サマーヌード」など、数々のJ-POPの名曲が使われ、コンピレーションアルバムも二枚発売されました。ちなみに原作者の【久保ミツロウ】さんは女性です。
最後に先月テレビ語で紹介した【ピース】の9月の検索数は17,509で、先月より7,000以上アップしています。今まさに「モテ期」の二人ですね。
『Gガイドモバイル』ユーザ検索ログデータより 集計期間:2010/9/1-9/30