新メディアの台頭、マス広告の価値変動、それに伴うクライアントニーズの変化…ここ数年、広告ビジネスは激変してきた。その一方で、ヒットキャンペーンを生み出す中軸を担う<広告クリエーター>とよばれる人たちの仕事は、さほど大きく変化していないのが現実だ。依然、マスメディアの表現の企画・制作に偏重しており、賞をとれるマス広告を生み出せるクリエーターほど優秀なクリエーターと称される文化がある。クライアントニーズが多様化し、ナショナルクライアントといえどもマス以外の広告プランニングを重視する企業が増えているなか、広告クリエーターたちは、今後どのような存在価値を維持、もしくは構築していくべきなのか。―そんな課題への取り組みとして、今年10月電通が新設したクリエーティブ・セクション《ビジネスデザイン・ラボ》。当室長の大越いづみさんのお話をうかがってみました。
―今回、新しく設置された《ビジネスデザイン・ラボ》は、従来の電通クリエーティブ・セクションと、どのように異なるのでしょうか。
《ビジネスデザイン・ラボ》は、電通が今まで「やるべきとは解っていても実際やってこなかった仕事」をやってみるという、ある種トライアル的に立ち上げた組織ともいえます。勿論、仕事ですから、いつまでもトライアルとは言っておられず、なるべく早く実績と数字をきちんと作っていくことも求められますが。まだ試行錯誤の段階ですので、確固たるものは、これから皆で築いていこうと考えています。一ついえることは、今まで広告クリエーターたちが受注して手がけてきた、いわゆる<通常の広告キャンペーン>はこのセクションではやらないということです。今まで広告クリエーターが受けてこなかった類の企画、制作の仕事、あるいはクライアント1社だけではどうにも解決できない仕事といった、今までの事例に当てはまらない仕事を行っていくセクションです。直前まで、私自身は《コミュニケーション・デザイン・センター》に所属していましたが、今度は、コミュニケーション・プランありきではなく、ビジネス・デザインという見地から私たちの強みを発揮していく立場になったと捉えています。
―電通がそのようなセクションを作ったことは、業界的にもインパクトがあることだと思うのですが、その背景をおきかせいただけますか。
大きな転機は、「脱・マス広告」ということをクライアントがおしなべて言いはじめた頃だったと思います。電通は今、2つの課題に取り組んでいます。一つは、マスメディアの価値向上。もう一つは、マスメディア発想に依らない広告ソリューションの開発。前者の試みとしましては、私がかつて関わった民放連と電通とが連携した「CMのCMキャンペーン」や、IPGが提供している「Gガイド」もTV視聴促進ツールという意味ではその一例でしょう。これらの課題に対し、電通のビジネスの可能性をより広く捉えてアプローチするために新設したクリエーティブ・セクションが、《ビジネスデザイン・ラボ》です。
―クリエーターの活用という点では、電通は、今までも組織的に色々な取り組みをしてきましたよね。澤本さんや高崎さんといったスタークリエーターを、媒体局と兼務させたりとか。そこには、どんな意図があるのでしょうか。
私のようなクリエーターでない者の目から客観的に見ましても、広告クリエーターの人たちが持っている頭脳って、相当にレベルが高いと思います。しかし、残念ながら、その高い能力のわりに、彼ら彼女らがエントリーすることを許されている競技種目が少なすぎるように思います。能力の発揮場所が、昔から相変わらず「コンテ1枚」「コピー1本」だけだったりするわけで。卓越した運動神経を持っている人たちなのに、野球とバレーボールしかエントリー競技が許されていない、みたいな。もったいないですよね。この人たちに、他のスポーツをやらせても、相応に高いパフォーマンスを発揮するにちがいありません。あるいは、野球ではあまり高いパフォーマンスは出せなくても、スキーをやらせたらトップパフォーマンスを出す、という人もいるでしょう。今までの広告代理店って、クリエーターたちにそういう多様な能力の発揮場所を与えてきませんでした。だから、この優秀な頭脳を、コンテ1枚、コピー1本に限らせず、もっとマルチに発揮させたら、きっと今までにない斬新なアウトプットが生まれるのではないか。結果、それは、広告クライアントの新しいニーズに応えていくことになるのではないか。今までの取り組みも然り、《ビジネスデザイン・ラボ》も、そういう思いで作った組織です。
―「ソリューション力を上げていく」という指針を、電通は明解に打ち出しました。その実現のために、クリエーターたちの頭脳に新しい科学反応を起こしてみようということですね。
はい。私は、電通で働くことの醍醐味、電通の強みは、<団体戦>にあると思っています。しかし、その中軸を担うクリエーターたちが、<個人戦>に終始している現状。ここに何とか新しい風穴を開けたいと、私は思っています。頭脳を連結させて一人では達成できない仕事を成し遂げる―そこに快感を味わうクリエーターの組織を作ってみたい。それが実現できたとき、ソリューション力が一段上がるのではないか、と。個々の頭脳が優秀であればあるほど、1の頭脳によるアウトプットよりも、10の頭脳を掛け合わせたアウトプットの方が、深くてユニークにちがいないですから。
―本日は、たいへん興味深いお話をいただき、ありがとうございました。
気になるテレビ語 groovy word on TV 『AAA(トリプルエー)』
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