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Gプレスインタビュー

2008.October | vol.66

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日本のテレビは、激変の時代へ。 米国のテレビは、どうだろう?

Macrovision Corporation
Executive Vice President of Marketing

Mr. Corey Ferengul

2011年にテレビ放送波がすべてデジタル化される日本。それに伴い、「放送と通信の融合」「オフラインコンテンツのオンライン化」といった様々な変化が訪れようとしている。放送のデジタル化が日本よりも早く進んできた米国では、そうした動きは、日本に先駆けて起きている。そこで起きてきたこと、起きていることを監察することは、この先、日本で起きていく「テレビ視聴スタイルの変化」の参考として興味深い。一方、CATV網が発達し、多チャンネルがエリア毎に存在し、しかも有料放送が当然という米国は、日本とはテレビをめぐる実情がかなり異なる。その点も踏まえたうえで、米国のテレビ視聴事情および海外の目から日本のテレビ視聴の特徴、今後の展望について、米国でテレビコンテンツに関するポータルサイトwww.tvguide.comの運営を行っているマクロ ビジョン社のキーパーソン、Corey Ferengul氏に話をうかがってみました。 聞き手・文/横江史義

―テレビ番組コンテンツがデジタル化されたことで、 アメリカではどんな変化が起きましたか?

これは、どこの国でもそうですが、テレビという端末以外 でテレビ番組コンテンツが見られるようになりました。視聴者の側からすれば、選択の幅が拡がったということです。 特に若い世代においては、ネットでテレビ番組を見る人が、ものすごい勢いで増えています。先日、ある番組の視聴調 査を行ったところ、驚きのデータが出ました。なんと、その番組をテレビで見たという人よりもネットで見たという 人の方が多かったんです。まさに、時代を象徴していると 思います。

―日本では、電子番組表やハードディスク内臓レコー ダーの普及により「タイムシフト視聴」といった新し い視聴スタイルが生まれましたが、アメリカの状況は どうでしょうか。

「録画して観る」という視聴スタイル自体が、減ってきて いますね。多チャンネルでVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが発達しているアメリカの場合、日本とは前 提状況が違うこともありますが、今の時代、見たい番組は「ネットに行けば、どこかにある」ので、わざわざ録画す る必要がなくなってきているという事情があります。むしろ、レコーダーというハードにとって大切な機能は、「録画」 という機能よりも、「電子番組表」といったコンテンツをナビゲートしてくれる機能といえます。

―つまり、コンテンツがデジタル化することで、ハー ドの存在意義が変わり、それにともなってハードの設 計の考え方自体も変わってくるということですね。

そのとおりです。アメリカでは、ネットにつながるテレビ がよく売れています。特に、「オーバー・ザ・トップ」を可能たらしめるテレビが注目されています。これは、CA TV等のインフラを介さずに、テレビから直接「フリー・オン・デマンド」サービスに繋がる機能をもったテレビで して、少し前までは、このような機能がテレビにビルトインされるとは想像もしませんでした。アメリカ人にとって、 「テレビ番組」とはCATVを通じて見る「有料コンテンツ」であるという概念があったのですが、テレビ番組コンテン ツが「ネットで無料で見られる」ようになったことで、その概念が崩れていった。そこに、「フリー・オン・デマンド」 というサービスが急速に台頭してきたわけです。

―そうなると、従来のテレビCMというカタチ以外で の広告モデルが必要になってきますよね。

そのとおりです。すでに、様々なカタチは出てきています。 コンテンツの中に広告クライアント商品をまぶしていく「プロダクト・リプレイスメント」をはじめ、ポーズの時に広 告を出すとか、ロゴを番組の中で効果的に露出していくとか。そして、私たちがメディアとしてとりわけ注目してい るのが、電子番組表です。とにかく、今の視聴者は、いかに「お金を払わずに見たいコンテンツを視聴できるか」を 考えています。だから、電子番組表が「見たい番組にたどりつくための必須ツール」になればなるほど、広告主側か らすれば、「出稿価値の高いメディア」になるはずです。

―日本のテレビは、ハードもコンテンツも、2011年 に全デジタル化されます。そうなったとき、テレビと PCの垣根ってどうなっていくのだろう? という議論 があります。その垣根は、無くなってゆくものなので しょうか ?

そうは思いません。私たちは、テレビのことを“3フィー トメディア”と呼んでいます。3フィート離れた位置で接するメディアということですが、ここに、PCとの決定的 な違いが凝縮されています。キーボードではなくリモコンで操作する点、間近でアクティブに接するメディアではな くちょっと離れてパッシブに接するメディアである点…等々。この“3フィートメディア”がデジタル化しても、=PC にはならないでしょう。2つは、それぞれが固有の価値を もったメディアです。

―本日は、お忙しいなかお話をいただき、ありがとう ございました。

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