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2008.January | vol.57

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「選ばれるチャンネル」になるために。

株式会社WOWOW
編成局 プロモーション部長

山本 均さん

放送のデジタル化に伴い、テレビが多チャンネル化する一方、視聴者に与えられた時間は1日24時間と変わらない。まして、パソコンや携帯電話といった強力なライフメディアの台頭により「テレビ離れ」という現象が危惧される昨今、各テレビ局は「選ばれるチャンネル」になるべく、コンテンツ開発においてますます激しい凌ぎを削る時代を迎える。「テレビは見られて当然」というかつての常識は、もは や通用しない時代となりつつある。そんな中、今から17年も前にわが国でいち早く「有料放送」を開始したWOWOWは、「選ばれるチャンネル」という道を模索しつづけてきた。今や240万世帯に支持されているWOWOWの開局当時からコンテンツ開発に携わってきた山本均さんに、お話をうかがってみました。

―「テレビ = 無料」という意識が定着している日本 において、お金を払ってでも見たいと思うコンテンツ とは、どのようなコンテンツなのでしょうか。

いわゆる「リッチコンテンツ」「キラーコンテンツ」と呼ば れるコンテンツで、私たちが開局当時からずっと追及してきたものですが、実は、そんなにたくさんあるわけではありま せん。結局、映画、スポーツ、音楽、海外ドラマ、加えて最近ではアニメ…だいたいそんなところです。これは、日本に 限らず、世界的にそうです。

―映画、スポーツ、音楽、海外ドラマ、アニメは、今や さまざまなメディアで、しかも世界中のものが見られるよ うになりました。そうなると、WOWOWさんとしても新 たな差別化を図っていかなくてはなりませんよね?

そのとおりです。視聴者にとっての問題は、「見たいコンテ ンツをどこでどうやって手に入れるか」です。その手段のひとつに、WOWOWという選択肢を入れてもらえるかどうか が重要なのです。だから、ただ「いいコンテンツを流して見せる」だけではダメで、「見せ方」が問われてきます。

―その「見せ方」の面で、WOWOWさんが今までこだ わってきたことは何ですか。

ひとつには、「まだ日本人が知らないリッチコンテンツをい ち早く届け、ブームの火種を育む」といったことでしょうか。たとえば、セリエAの放送をいち早く行ったのはWOWOW でしたが、当時はまだイタリアのサッカーの試合を見たいという人はごく僅かしかいませんでした。それがその後、(三浦) カズ選手がセリエAに行き、続いて中田選手が行ったことでブームに火がつき、今や、「欧州のサッカーの試合=リッチ コンテンツ」という認識が日本でも定着しました。映画も同様のことが言えます。映画館以外で映画を観るとしたら、か つては限られた地上波テレビ番組としての放送を待つよりほかありませんでした。だから、映画のよさを知らずに生活し ている人々、あるいは映画を観たくても東京の単館でしか上映されていないコアな作品を観る機会をもてなかった人々が たくさんいました。そこへ、WOWOWが、四六時中映画を放送しました。そのことによって、「映画って素晴らしい」 と認識する人々が量的にも質的にも増えたことは確かだと思います。つまり、知られざるリッチコンテンツをどう発掘し どう発展させていけるか、ということに力を注いできたわけです。ただ、これからは、それだけではダメだと思っていま すが。

―WOWOWさんも「変わらなくてはいけない」というこ とですか ?

もちろんです。「キラーコンテンツを探してきて、流す」と いう従来のフロー型コンテンツばかりやっていてはダメです。「選ばれるチャンネル」になるためには、WOWOWにしか ないものを持たないといけません。その一策として、『ドラマW』のようなオリジナル・コンテンツの開発も積極的に行 っています。加えて、先ほど申し上げました「見せ方」の工夫も重要でして、その意味で、御社の提供する『Gガイド』 には大いに期待していますし今後も連携していきたいと思っています。デジタル化の時代になると、「タイムシフト視聴」 「高画質高音質視聴」という2つの新しい視聴スタイルが生まれます。そしてこのことは、私たちWOWOWにとっては 追い風だと思っています。な ぜなら「録画してまで見たい コンテンツ」や「高画質と高音質で見たいコンテンツ」は、 まさにWOWOWが提供しつ づけてきたコンテンツだから です。たとえば、映画やドラマでいえば、WOWOWでは「ノーカット放送」で見ること ができます。今、家電は驚異的な進歩をとげていますから、とてつもない高画質・高音質映像をリビングで体験すること ができます。そのクオリティが上がれば上がるほど、「せっかく見るならノーカットで見たい」となるはずです。

―「選ばれるチャンネル」になるためには、コンテンツ だけではなく、周辺のシステムやハードとの連携も考慮 に入れていく、ということですね。

そのとおりです。とはいえ、やっぱり最後はコンテンツでし ょうね。繰り返しになりますが、WOWOWならではのコンテンツをどう開拓、開発していくかです。たとえば、先日、 東京と大阪で公演された三谷幸喜さんの演劇がありましたが、人気のためチケットはまず手に入りません。こういうのをハ イビジョンで全国放送するのが、WOWOWならではのコンテンツだと私は思っています。WOWOWは、「全国一波」 であることも大きな強みです。東京や大阪など一部の大都市でしか見られないリッチコンテンツを、全国津々浦々に届け ることができる。その結果、加入者に対してリッチな視聴体験を届けると同時に、文化育成にも貢献していく。そういう ことが、私たちの使命だと思っています。

―本日は、貴重なお話をありがとうございました。

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