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2006.December | vol.44

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放送と通信の連携が進む新しいハード環境の中で、
いわゆる「勝ち組コンテンツ」は、いかにして生まれるのか。

株式会社ディー・エヌ・エー
代表取締役社長

南場 智子 さん

『YAHOO!』『楽天』をはじめとするメガポータルサイトの「ひとり勝ち」といわれてきた、webコンシューマー市場。そこへ、SNS系が新たに台頭してきているが、これから、どんな局面をむかえていくのだろうか。また、メガポータルサイトがなかなか誕生しなかった mobileコンシューマー市場では、変わらずコンテンツ乱立時代が続くのか。それとも、『モバゲータウン』のような10代~20代をターゲットにして急速に台頭してきた特定のコンテンツサイトが制するのか。「通信と放送の連携」という新しいフェーズを迎え、web やmobileといったメディアにおいて、どんなコンテンツが生活者の心をとらえるのか。開設わずか9ヶ月で200万人以上の会員を獲得したmobileサイト『モバゲータウン』を立ち上げた、株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長、南場智子さんに聞いてみました。

コンテンツ制作者に法人個人を問わないweb、mobile の 世界では、無限にコンテンツが拡がっていくわけですが、 コンテンツプロバイダーとして、留意していること、こだ わっていることは何ですか?

割とシンプルなことですが、「コンテンツを提供する」と いうことは「サービスを提供する」ことである意識を、シ ステムを作る人間がどれだけ持てるか、ということです。 「ネット店舗」であれ、「リアル店舗」であれ、その先にコ ンシューマーがいるわけですから。どんなに技術的に高度 なシステムを作ることができても、コンシューマーにそっ ぽを向かれてしまったら全く意味はないわけで、エンジニ アであっても、「ユーザが求めているのは何か」というマー ケティングセンスを常に磨いていることが大切だと思いま す。

なるほど。ビジネスとしてシンプルで当たりまえのことで すが、実は、なかなか実践できないことかもしれません。 御社が成長されている理由は、南場社長が「コンシューマー 視点」という信念を崩さずやってこられたからでしょうね。

確かに、信念は変えずにやってきましたが、信念を持って いたからといってビジネスが最初からうまくいくとは限り ません。正直、起業当時は大変でした( 笑)。最初は何年 も赤字続きでした。

えっ、そうなんですか? この数年の決算数字を見ると、 売上げも利益も毎年2 倍3 倍の大成長企業ですが・・・

私たちが最初に始めたのは、1999年に立ち上げた『ビッダー ズ』というオークションサイト(http://www.bidders.co.jp) でした。『YAHOO!』『楽天』といった、構造的に非常に強 い基盤を持った確固たるポータルサイトと同じ土俵で戦わなくてはなりませんでした。でも、あるとき、私たちは大 切なことに気づいたのです。「見るべき相手は競合ではなくユーザである」ということ。私たちに確信としてあった のは、ユーザ心理として「オークションが好きなユーザはショッピングにも興味があり、ショッピングが好きなユー ザはオークションにも興味がある」ということでした。そ して、オークション& ショッピングサイトとしてコンテ ンツを徹底的に磨いていった結果、2003 年以降黒字に転 じ、おかげさまで現在に至っています。

昨年立ち上げられた『モバゲータウン』では、あっという 間に200 万人のユーザ登録を実現されました。mobile コ ンテンツの中でアクセス数No.1、mobile のポータルサイトの誕生とさえ言われていますが、なぜこのようなサイト を創りだすことができたのでしょうか?

それは、教えられませんよ( 笑)。というのは冗談ですが、 ひとつ確実に言えることは、やはり「ユーザが求めているものは何か」を徹底的に追求することです。さきほどから 同じことしか言えてませんが( 笑)。例えば、『モバゲータ ウン』の場合、ユーザは10 代~ 20 代の若い人達ですが、 彼ら彼女らは「自分なりの彩りを創りたい」という欲求を 強く持っている人たちです。だから、大切なのは、「ユーザの自由度」を高くしたコンテンツを創ることです。『モ バゲータウン』の成功は、そういうところにあると思って います。

いろいろ勉強になります。最後に、私たちが提供している 『G ガイド』『G ガイドモバイル』について、苦言、期待、 アドバイス等をいただけますか。

苦言ですか。難しいですね( 笑)。まずは賛辞から申しま すと、「『G ガイド』は、テレビが大好きな私の生活をドラマチックに変えてくれた魔法のツール」ということ。携帯 で今日のテレビ番組表見て、「あ、これ見たい」と思ったらその場でピピッと録画予約までできちゃう。これはもう 画期的ですよね。ただ、その一方で、なんだかこのまま私はどんどん馬鹿になっていくのではないかって心配になり ます( 笑)。欲しいコンテンツがすぐ手に入る-そんな求める刺激だけで満たされるハイパーテンション社会になっ たら、人間はいったいどうなってしまうのでしょう。興味がないこと、自ら求めないことには、一切接することがな くなるわけです。それって、脳が退化していく気がしませ んか( 笑)。たとえば、amazon.comで本を買う行為と本 屋で本を買う行為は、結果は同じでも、質的に全然ちがいますよね。もちろんamazon.comは便利ですが、やはり 人間には「本屋に行って、だらだらといろんな本を見ながら、お目当ての本を買って帰る」という文化が必要だと思 います。テレビも同じで、「だらだら見るテレビ」も、きっ と大切なはず。ですから、『G ガイド』『G ガイドモバイル』 は、そのあたりのバランス、<利便性>と<文化性>の調 和とでもいいますか、それをぜひサービスとして具現化していただきたいですね。

ありがとうございます。頑張ります。

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