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2006.October | vol.42

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VodafoneとSoftBankが、ひとつになった。
そこに、どんなチャレンジや意味が潜んでいるのか。

ソフトバンクモバイル株式会社
プロダクト・サービス開発本部 モバイル・メディア・コンテンツ統括部長

河野 真太郎 さん

10月1日から、ソフトバンクが携帯電話の発売を始めた。このことは、携帯電話、パソコンという端末にとって、どんな 将来性を示唆しているのか。この先、どんな新しいことが起こっていくのか、いかないのか。生活者はもとより、携帯電話関連企業、インターネット関連業界にとっても、このニュースは大きなインパクトを持っている。今月24日から、MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)サービスが始まり、新しい変化の予兆が見えはじめている携帯電話市場。携帯電話を選ぶ自由度が増えた消費者に対して、どんな魅力的なコンテンツを提供できるかが、ビジネスのカギを握ることはまちがいない。携帯電話市場の新星ソフトバンクは、今、どんなことを考えているのか。キーマンのひとりにきいてみた。

-今回、Vodafone とSof tBank がひとつになった ことは、生活者にとってどんな意味があるといえるの でしょうか。

ひと言でいえば、携帯電話とパソコンが融合していく ということです。ひねりも何もない答で、申し訳あり ませんが( 笑)。携帯電話とパソコンって、「デジタル コンテンツを見る端末」という点では同じですが、生 活者から見れば近いようで遠い存在です。近い遠いというよりは、「存在の意味や感覚がちがう」といった方 が適切かもしれません。たとえば、携帯電話を使って買い物したりすることはわりと安心して抵抗なくでき る一方、パソコンで買い物する際は、まだどこかに「情報を盗まれやしないか」という一抹の不安が拭いきれ ません。これは、携帯電話の場合、「携帯電話会社がユーザーを守ってくれている」という感覚が生活者にある のに対して、パソコンの場合、「責任はユーザー側にある」という感覚があります。〈感覚〉というより〈前提〉 といった方がいい。そういう異質な2 つの端末が融合 していく、ということです。

-ソフトバンクから携帯電話が発売されたというこ とは、「パソコンならではの利便性が、そのまま携帯 電話でも享受できるようなるにちがいない」と生活 者は期待すると思うのですが、実際、どうなのでしょ うか。

忌憚なく申し上げれば、一部「大いに期待していただ いてよいです」と言えますが、一部「ご期待に沿えるためには相応の年月がかかります」と言わざるをえま せん。たとえば、今回私たちが出した携帯電話の特徴は、「コンテンツ力」です。わかりやすいのは、ヤフーのコ ンテンツに携帯電話でもアクセスできるようになることで、「今までこういうコンテンツには携帯からはアク セスできなかった。あるいは、アクセスできても無料ではなかった」とユーザーに喜んでもらえるようにな ります。しかし、だからといって、パソコンでアクセスできるすべてのコンテンツに対して携帯電話からも アクセスできるようになるかというと、近い将来も含 めて、それは「否」です。

-それは、技術的な問題が壁になっているのですか。

もちろん、それもあります。たとえば、VOD のような パソコンインターネットでは提供できる動画コンテンツサービスを、携帯電話でもできるようにするためには、 相当なインフラが必要で、今の産業構造そのものを変えなくてはいけません。ただ、携帯電話がパソコンに なり代わることができない本質的な理由は、技術的な問題ではありません。端末が使命として持っている「責 任の分岐点の違い」によるものです。

-「責任の分岐点の違い」と言いますと?

端的に申し上げれば、携帯電話事業は要免許事業であり、 インターネット事業は免許の要らない自由競争事業であるということです。つまり、携帯電話はどちらかと いうと公共サービス事業、言い換えれば、あらゆる人々にとって安心・安全を保証するものでなければならな い使命を持っています。一方、インターネットは自由競争の論理で成り立っていますから、トラブルがあっ たとしてもユーザー側に問われる責任部分が大きい。これは、大きな違いです。だから、インターネットで 配信されている動画に携帯電話からもアクセスできるようになることには、慎重に進めざるをえないわけです。

-ただ、一方で、ワンセグや私たちのG ガイドモバ イルのような動画関連サービスは、わりとすんなり と入りましたよね?

ワンセグの場合、コンテンツを作り配信してるのがテ レビ局という「公共サー ビス」の企業であるこ とが大きいわけです。 公共サービスが保持すべき、不文律の基準、 倫理というものを共有 している。だから、私 たちは「安心して組め る」のです。G ガイド モバイルも同じです。ジェムスター、電通という「公共のインフラで何をやってよくて何に慎重に ならなくてはいけないか」を熟知している企業が提供しているサービスだからこそ、私たちは「安心して組 める」のです。

-なるほど。たいへん勉強になるお話をありがとう ございました。

こちらこそ。G ガイドモバイルには、今申し上げまし たように、「公共コンテンツ」として大いに期待してい ます。是非、携帯電話コンテンツの柱として成長でき るよう、頑張ってほしいと思います。

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