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2006.June | vol.38

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2006年4月、民放キー局5社とdentsuをはじめとする広告会社が、
新会社「プレゼントキャスト」を立ち上げた。
―その業界初の試みには、どんな意図が託されているのか。

株式会社プレゼントキャスト
代表取締役社長

石川 豊 さん

「TVをもっと楽しむインターネット」をコンセプトとした、テレビ局コンテンツポータルサイト『DOGATCH』が、先日(6月1日)オープン。よく見ると、そこには、新会社「プレゼントキャスト」が仕掛ける<放送と通信の連携>の青写真が見えてくる。電通出身である石川豊氏がその舵取りを担う点も、興味深い。彼らは、どんな新しいビジネスモデルを描き、どんな新しいビジネスチャンスを生もうとしているのか。石川豊社長ご本人にうかがってみました。

―プレゼントキャストを設立した目的を教えてください。

2005年の8月に、dentsuと在京5局の中で話が出たのが発端です。インターネット利用者が、2004年で8000万人、その契約世帯の約半数がブロードバンド接続という環境の中で、付随する広告市場も2005年で2800億円、毎年50%ずつの成長率。2010年には6000億円市場と予測されています。その中で放送と通信をどう連携させていくか…は、放送局にとっては大きな課題です。VOD事業、モバイルコンテンツ等に対する積極的な取り組みは、そのひとつの答えでもあります。ただ、やはり、放送局の事業の中心は<地上波>です。この<地上波>を軸に据えた「放送と通信の連携」を実現することが、放送局にとっての基本姿勢です。それをやろうとして作ったのが「プレゼントキャスト」です。

―その会社のトップを放送局ではなく、電通テレビ局出身の石川社長に任されたことには、どんな意図があるのでしょうか。

そのひとつには、電通をはじめとする株主の広告会社は、すべての放送局に対して中立的なポジションにいる企業であるということがあります。そしてまた、広告会社は、地上波放送を軸としてテレビ局と視聴者、広告主と消費者の間で新しいビジネスを開拓していかなくてはいけない使命を、放送局とともに共有しています。つまり、私たちがやろうとしていることは、たとえば無料コンテンツの配信そのものをメインとするインターネット会社のビジネスとは、まったく性質が違うわけです。あくまでも地上波のオンエア・VOD事業・イベントなど放送局が発信するコンテンツが主役であり、その主役をもっと楽しく盛り上げ、視聴者・消費者の利便性を高めるためにインターネットという通信メディアと「連携」することに主眼を置いています。そう、大事なのはまさにこの「連携」するという点。だから、放送局だけではなく、電通のような広告会社が絡む必然があるのです。

―その「放送と通信の連携」を具現化するのが、ポータルサイト『DOGATCH』なのですね?

そうです。この『DOGATCH』は、サービス展開の軸としているキーワードが、「旬とルーツ」ということです。「旬」は今、トレンド。「ルーツ」はそこを深く掘り下げること。旬を伝えるのは放送メディアの真骨頂であり、ルーツを伝えるのが通信メディアの真骨頂です。たとえば改編期で新しいドラマが始まるときに、視聴者がその番宣、製作者のコメント、メイキング、ダイジェスト等を比較することができるとすれば、地上波で放映される番組の楽しみ方が何倍にも膨れあがるはずです。そして、それを可能にするアプリケーションが、EPG(電子番組表)です。EPGは、コンテンツナビゲーターとして機能するだけでなく、それがあるからこそコンテンツ周辺の「ルーツ」を伝えることが可能になる。ですから、EPGの機能は『DOGATCH』のサービスの心臓部といえます。

―『DOGATCH』のプレ・サービス・サイトのオープンを、4月でなく6月にした意図は何ですか?

FIFAワールドカップに合わせるためです。FIFAワールドカップはそれ自体がキラーコンテンツであると同時に、『DOGATCH』のコンセプトを象徴的に体験できるコンテンツであることがそのいちばん大きな理由です。まず『DOGATCH』のEPGで、見たい試合番組を検索する。そして、その試合の見所に関する各局解説者のコメント等を見る。地上波でのOAを観る。その後、4分程度の試合ダイジェストを見る。『DOGATCH』のFIFAワールドカップコーナーはこのような視聴スタイルに対応できるように構成されています。―そういう、ひとつの放送を重層的に体感できる、いわば「予習ができて復習もできる」といった新しいテレビ視聴スタイルを、一人でも多くの視聴者に体験していただきたい。それによって今秋の本オープン前に一人でも多くの方に登録会員になっていただきたいという狙いがあります。

―よくわかりました。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。今秋の本格オープンに、ぜひ期待してください。出来たてほやほやの会社ですので、何とぞ、皆様のご指導、ご鞭撻をお願いいたします。

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