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Gプレスインタビュー

2013.August | vol.122

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テレビを見ない人たちに、テレビを見てもらう。

2013年7月26日 電通ホールでの講演より
株式会社マイデジソリューションズ 代表取締役社長 猪狩淳一さん
株式会社プレゼントキャスト 代表取締役社長 須賀久彌さん

テレビ番組視聴者は、3つのタイプに分類することができる。1.決まった番組を見る「固定ファン」。2.何となくテレビを見る「浮動層」。3.たまにしかテレビを見ない「ライト視聴者」。テレビ視聴を盛り上げるためには、「浮動層」と「ライト視聴者」のテレビ視聴機会を増やすことが必要。とりわけ、テレビを見る日常習慣が薄い「ライト視聴者」にとっては、電子番組表のような「テレビ周り」のメディアだけではなく、多様なメディアとのより広い且つ戦略的な連携が欠かせない。テレビ視聴を盛り上げる施策について、インターネットニュース配信事業を手がける株式会社マイデジソリューションズ代表取締役社長猪狩淳一さんと、テレビ番組情報を中心とした動画配信サイト「テレビドガッチ」を運営する株式会社プレゼントキャスト代表取締役社長須賀久彌さんの話をまとめてみました。
※2013年7月26日、電通ホールで行われた講演より。

株式会社マイデジソリューションズ 代表取締役社長
猪狩淳一(いがり・じゅんいち)

1968年福島県生まれ。1991年、慶應義塾大学卒業後、毎日新聞社入社。大阪社会部、呉支局、福山支局、京都支局などを経て、2001年、同志社大学大学院修了後、総合メディア局へ。2007年、株式会社毎日新聞デジタル・ゼネラルマネジャー。「まんたんウェブ」「毎日キレイ」「BizBuz」などのサイトを開設し、2013年5月、株式会社マイデジソリューションズを設立。

■株式会社マイデジソリューションズ猪狩淳一代表取締役社長の講演より

--株式会社マイデジソリューションズが運営するwebサイトのオリジナリティ。

 これまでに2つのエンターテインメントニュースサイトを立ち上げました。1つは、日本最速のポップカルチャーニュースサイトを標榜する「まんたんウェブ」。月間約1200万PVのアクセスがあります。もう1つは、やはりこれも日本最速のエンタテインメント動画サイトを標榜する「マイデジTV」。現在1万3千人以上の登録ユーザーを抱えています。両サイトとも、エンタメニュースを正確に且つどこよりも早く配信することを特徴としています。たとえば、先日行われたAKB48の総選挙の際は、ほぼリアルタイムで速報を配信いたしました。そういった、新聞、雑誌といった紙メディアではできないことを行うことが当社の使命です。

--ライト視聴者を固定ファンに変えていくきっかけとしてのニュース配信。

 まんたんウェブは、最高1日10億PVと言われているヤフーニュースに配信してしています。ヤフーニュースの中でも、エンタメ、スポーツのコンテンツが特によく読まれているということです。また、その記事は「ヤフートピックス」に取り上げられることもあります。一方、一日20本~30本配信される「まんたんウェブ」の記事のうち、約3分の1はテレビ関連なので、ヤフートピックスに取り上げられるのもテレビ関連記事が多いんです。
 先日、このような事例がありました。CBCの『ゴゴスマ』という番組で、初のレギュラー番組出演となったキンタローさんが、同番組内で交際についてコメントいたしました。それを掲載したまんたんウェブの記事が、ヤフートピックスに掲載されたので、『ゴゴスマ』にとっては絶大な番宣効果を得たことになります。番組のコンテンツが「事件」となることで、それがまんたんウェブの記事になる。そのたった1本の記事が、一瞬にして、全国数十万PV、何百万PVのアクセスに繋がっていく。このことは、番宣の費用対効果という点で画期的なことであると同時に、テレビをあまり見ないライト視聴層に対して特定の番組に関心をもってもらうインセンティブとしても大きな効果を発揮します。

--浮動層を固定ファンに変えていくきっかけとしてのニュース配信。

 まんたんウェブやマイデジTVは、ライト視聴者だけではなく、浮動層に対しての効果的な番宣ツールにもあります。先ほど申し上げた、「番組コンテンツを事件化する」という考え方のベースは同じですが、たとえば、先日HBCで放映された『天空の方舟』というドキュメンタリー番組で藤本美貴さんがナレーターを務めたのですが、彼女が自分のナレーションを振り返りながら、この番組に対する思い等を述べた記事をまんたんウェブに掲載いたしました。この記事も様々なサイトに配信されましたが、その番組を単に「広く」知ってもらうだけではなく、出演者の思いや制作者の意図といった番組の背景にあるものを伝えることによって、その番組を「深く」知ってもらうきっかけになります。つまり、浮動層を固定ファンに変えていくツールにもなるということです。

--電子番組表との連携。

 ある実験では、番組紹介記事の下にGガイドのリンクを貼ったところ、番組詳細データの閲覧数が1.6倍になったという結果が出ています。まだ連携は始まったばかりですが、番組コンテンツとの連携次第では、大きな番宣効果が期待できる新たなツールとして、インターネットのエンターテインメントニュースに関心を持っていただけたらと思っています。

株式会社プレゼントキャスト 代表取締役社長
須賀久彌(すが ひさや)

1996年電通入社。総合デジタル・センター、メディア・コンテンツ計画局にて、データ放送を中心に、放送のデジタル化に関わる。2001年よりテレビ局ネットワーク1部にて、日本テレビ系列を担当。 2006年7月プレゼントキャストに出向。2008年6月より代表取締役社長、現在に至る。


■株式会社プレゼントキャスト須賀久彌代表取締役社長の講演より

--株式会社プレゼントキャストの事業概要、目的等。

 株式会社プレゼントキャストは、2006年に、テレビ局5局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)と広告会社4社(電通、博報堂DYMP、ADK、東急エージェンシー)の9社によって設立されました。事業の中心は、「テレビドガッチ」というテレビ番組配信サイトの運営です。このサイトでは各局の番宣情報を包括的に配信。独自インタビューや、サッカー日本代表戦のハイライト動画などの配信を行ってまいりました。2010年3月には、民放キー5局の有料番組動画の配信事業もスタート。現在では、東京キー局だけではなく、関西や名古屋、北海道などのローカル局の番組も配信しており、配信番組は、1,750番組、15,000エピソードまで拡大しました。PC、携帯電話、スマートフォン、デジタルTVと、マルチデバイスでの動画視聴、放送局を横断した番組動画の購入が可能です。

--浮動層、ライト視聴者向けの具体的な施策。

 その「テレビドガッチ」では、テレビ番組やイベント、映画などに関連するニュースを毎日配信しています。「テレビ関連ニュース」と呼んでいるそのニュースは、年間9000本程度の記事をテレビドガッチだけではなく、エキサイト、マイナビニュース、ライブドア、mixi等の外部ポータルサイトにも配信しています。最近は、ポータルサイトだけではなく、スマートフォンのアプリとの連携にも取り組んでいます。たとえば、「ジョルテ」というカレンダーアプリにニュースの配信を行い、気になった番組はカレンダーに登録することが出来るしくみを構築中です。これらの取り組みでは、どうすれば浮動層やライト視聴者の方たちの生活動線の中にテレビ番組情報を届けることができるかという視点に立ち、様々な展開を進めています。

--公式サイトやソーシャルメディアを活用した固定ファンの開拓。

 ここ数年は、放送局や広告会社のお手伝いをすることも増えています。具体的には、番組の公式サイトの制作・運営や、facebookページやtwitterアカウントの運営などをお手伝いしています。これらは、先ほどのニュース配信が浮動層やライト視聴者の方たち向けの施策だったのに対して、番組の固定ファンの開拓、育成の施策だと考えています。

--ソーシャルを利用した固定ファンや浮動層の興味をライト視聴者へ伝える仕組み

 Facebookを使って、固定ファンや浮動層が興味が持った番組をライト視聴者へ伝える取り組みも始めています。Facebookナビというページの中に、facebook navi TVという放送局のfacebookページを一覧できるサイトを作ったり、オープングラフという仕組みを使って、ユーザのこの番組を「見たい」という情報を、友達に拡散する仕組みも、各局と様々な議論をしながら、naviTVというiOSアプリをリリースして、実験を開始したりしています。

--貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

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