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Gプレスインタビュー

2012.June | vol.108

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vol.108photo

韓国メディアから見た、日本のテレビ番組。

MBC PLUS MEDIA
政策部長

朴 性浩 さん

パク・ソンホ
MBC PLUS MEDIA
政策部長
Documentary Program Director 1996-2006
Sterategy Planning Team Director 2007-2009
Programing Planning Team Director 2010-2012
西江大学校 言論大学院 放送学 碩士(a master of arts)
(the doctor's course in Dongguk University, major- New Media Management)

日本のテレビ番組において、韓国のコンテンツは、相変わらず根強い人気を維持し、衰える兆しを見せない。Gガイドの「検索ワード」ランキングでも、韓国のアーティストや俳優の名前、ドラマの名前が常に上位を占め、「韓国」「韓」といったワードも相当のヒット数がある。一方、放送の自由化に伴い超多チャンネル時代を迎えた韓国。地上波の中で最も歴史のある放送局MBCが、子会社MBC PLUS MEDIAを設立し、ケーブルTVチャンネルを運営している。そして今年二月には新しい音楽チャンネルMBC MUSICを追加で開局した。今、韓国のテレビ業界で何が起きているのか。日本の「韓流ブーム」を彼らはどのように見ているのか。MBC PLUS MEDIAのプログラム プランニング チーム長(日本で言えば編成局長)である、朴性浩(パク・ソンホ)氏にきいてみた。

―韓国では、今年たくさんの新しい放送局が開局しました。MBC PLUS MEDIAも、その一つなわけですが、その背景について教えていただけますか。

韓国では、以前は、地上波事業者達が有料放送(ケーブル、衛星、IPTV)チャンネルを持つことは法的にできませんでした。ところが、二〇〇二年に大きな法改正があり、地上波事業者も有料放送チャンネルを持つことが出来るようになり、地上波事業者が多チャンネル事業者になったわけです。二〇〇二年の法改正の背景には、「有料放送事業の活性化」「番組のクオリティ向上」という意図がありました。韓国の有料放送事業は、一九九五年にケーブルテレビから始まりました。衛星放送から始まった日本の有料放送はクオリティの高い番組を維持できてきましたが、韓国の場合、二〇〇〇年代入ってまもなくプログラムのチャンネルバイヤーであるケーブルプラットホーム事業者数を拡大したことで価格競争が激しくなり、不公正行為が多くなりました。そこでチャンネル事業者数を増やすことで地上波事業者も地上波チャンネル以外に有料放送多チャンネルを持つことになったのです。

―そのことによって、番組提供会社のビジネスは変わりましたか。

大きく変わりました。自分たちで多チャンネルを持てなかった時代は、プログラムを制作すると地上波で放映し、再流通が出来なかったので、ビジネスのフレキシビリティがありませんでした。しかし、ケーブルチャンネルを地上波事業者自分たちが運営できるようになった今は、韓国内での放映以外に、ケーブルチャンネル運営、国外での放映、DVD、関連グッズの販売等、一つのコンテンツで様々なビジネスが可能になりました。

―そうなると、映像著作権やタレントの肖像権の考え方も、今までと変わってくるということでしょうか。

非常に「日本らしい」質問ですね。この著作権、肖像権の対する考え方が、日本と韓国では大きく違います。日本人から見ると、「韓国は、権利にいい加減な国である」というイメージがあると思います。確かに、韓国では違法アップロード等いろいろな問題が存在していることも事実です。違法行為を黙認しているインターネットプロバイダーに対して、我々番組提供会社が提訴しているケースもあります。しかし一方で、日本は権利に関して制約が強すぎる側面もあると思います。特に肖像権に関して、日本の番組は制約が強すぎます。

―具体的にどういうことでしょうか。

以前こういうことがありました。ある日本のドラマを韓国で是非放映したかったのですが、一部の出演者の肖像権問題が解決できないという理由で断念せざるを得ませんでした。韓国のドラマでは、ほとんど考えられないことです。なぜ韓国のドラマやエンターテインメントコンテンツが日本に限らずアジアひいては世界に広まっていったか、それには二つの要因があると思います。一つは、コンテンツのクオリティが上がったこと。もう一つは、著作権や肖像権に関して比較的オープンマインドであることです。無論、守られるべき基本的な権利は守られるべきです。しかし一方で、コンテンツには「拡販性」というものも同時に携えていなければならないと思います。せっかくよいコンテンツが出来たのなら、それを世界中の一人でも多くの人に見てもらいたい。これは、制作者も出演者も同じ気持ちのはず。韓国の放送業界や芸能界にはこの考え方が根底あるので、権利に関しても、最低限の基本的なことさえ守ればあとはオープンでいいじゃないか、という姿勢があります。そこが、日本との大きな違いです。

―もし日本のコンテンツがもっとスムーズに韓国に入るようになったら、韓国でも「日流ブーム」が起きると思いますか?

それはもう確実に起きますね。すでに、韓国の人たちは日本のコンテンツに大きな関心があります。みな日本の歌をよく歌いますし、日本のドラマを韓国版にリメイクし大ヒットしたドラマもたくさんあります。私たちのプロの目から見ても日本のテレビ番組のクオリティは世界に誇れると思います。だから、個人的にはもったいないなぁと思います。権利に対してもう少しオープンだったら、日本の番組は世界を席巻するクオリティをもっているのに、と。でも、最近は、日本の事情も少しずつ変わってきているように思います。ちょうど今月から、『家政婦のミタ』を私たちのチャンネルで放映します。私が最初にこのドラマを見たとき「面白い!韓国でも絶対にヒットする!」と直観しました。そして、交渉に入ったのですが、以前のような肖像権に関する複雑なやりとりはなく、比較的スムーズに商談が進みました。このように日本の素晴らしいコンテンツが韓国にスムーズに入ってくるようになれば、お互いが切磋琢磨の関係となり、双方さらにクオリティの高い番組制作に繋がっていくのではないかと、私は期待しています。

―本日はお忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。

気になるテレビ語 groovy word on TV

『梅ちゃん先生』


時代は終戦直後。場所は東京蒲田。そこは戦争で焼け野原になり、闇市で活気づく街。人々が今日を生きるために必死になっていたこの街で、梅ちゃんこと堀北真希演じる下村梅子は「お父さんのような医者になりたい」と奮起して医者を志す。梅ちゃんの父親は真面目でカタブツな大学病院の先生。しかし内のさらに内なるものは人間味あるホットな人。人間味があるのに愛情表現が下手なところが正に昭和のお父さん。梅ちゃんは、明るく前向きな頑張り屋なのだが、生来の不器用さからよくドジをやってしまい、このお父さんにお小言を頂戴する。しかし、梅ちゃんが悩んだ時、人の心の機微とか道理を教えてくれるのもまた、このお父さんなのである。梅子が父親にいう「いつもお父さんが私たちを守ってきてくれたから、安心してやってこれたのよ」と。
家族愛、友情、ご近所をはじめとするコミュニティのこの時代ならではの大らかさ、温かさ、思いやりに、今まさに家を守る主婦達は、安心し、励まされるのではないだろうか。いつの時代も家族、友人、他者との繋がりの中で、大切なものは変わるものでもないし、いたってシンプルなものだから。
この「梅ちゃん先生」、5月の検索ログデータでは21位から8位に上昇、視聴率では、毎日20%以上を記録している。


『Gガイドモバイル』ユーザ検索ログデータより 集計期間:2012/5/1-5/31

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