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Gプレスインタビュー

2012.April | vol.106

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140文字制限の背景にあるもの。

Twitter Japan株式会社
パートナーシップ ディレクター

牧野 友衛 さん

まきの・ともえ
Twitter Japan株式会社
パートナーシップ ディレクター
2011年12月入社。Twitterのユーザー拡大を目的としたパートナーシップ事業を担当。
Twitter入社以前は2010年9月に(株)ByFlowを設立、ソーシャルサービス「byflow」の提供を行ない、2011年11月に事業売却。2003年4月から2010年8月までグーグル(株)でビジネス開発担当としてGoogleやYouTubeの新規プロダクトの開発、提供などに携わる。

現在、1日のツイート数は3億4千万。誕生してからわずか数年で、世界を席巻するメディアとなったツイッター。とりわけ、フェイスブックと並べて語られることが多いが、その生い立ちや属性はかなり異なる。140文字という文字数制限の背景にある、ツイッターの本質とは何か。そしてその先に、どんな可能性をみすえたメディアなのか。昨年3月、日本法人として設立されたTwitter Japan株式会社の牧野友衛さんにお話をうかがってみました。

―昨年3月に日本法人を設立した背景にはどんな意図とミッションがあるのでしょうか。

一番大きいのは、日本は世界で2番目にツイッターが使われているということです。世界中で使われているツイッターですが、日本は一人当たりのツイート数が非常に多いというのも特徴的です。昨年日テレ系列『天空の城ラピュタ』放映中に記録した1秒間2万5千ツイートは、秒間ツイート数の世界レコードを築きました。それだけでなく、ツイートされるワードベスト10の中、4ワードから5ワードは常に日本語が占めています。それほどに、日本人はツイッターを使っています。日本法人の設立は、初の現地法人設立となりますが、日本向けの製品やサービスを開始して、よりたくさんの人に使っていただくことを第一のミッションとしています。

―なぜ、日本人はツイッターが好きなのでしょう。

私見ですが、日本はブログが世界一多いところをみても、日本人はそもそも「活字が好き」ということがあるのではないでしょうか。新聞や雑誌がこれだけ多部数発刊されている国もありませんし、人口あたりの本屋の数も圧倒的ですよね。そんな活字好き民族とツイッターはとても相性がいいということではないでしょうか。同じことは、テレビとの相性にもあてはまると思います。テレビ離れと言われつつも、結局ネットでの話題もテレビで放映されたことが一番多く、先ほど触れた秒間ツイート世界レコードも、テレビありきの出来事でした。「リアルタイム視聴」でのツイッターとテレビの相性がとても良い一例です。

―同じくアメリカで生まれたSNSであるフェイスブックの場合、他国に比べて日本での普及率が伸び悩んだのに対して、対照的ですね。

ツイッターは、SNSとして括られることが多いのですが、私たちは「ツイッター = SNS」とは考えておりません。SNSは、その名の通り「ソーシャルな繋がり(それを「ソーシャル・グラフ」といいます)」を創出するメディアでありますが、ツイッターの本質は「情報のプラットフォーム」ですので、「興味・関心の繋がり(それを「インタレスト・グラフ」といいます)」を創出するメディアと言えます。言い換えれば、前者は友人であること、友人になることを前提としたクローズな関係であるのに対して、後者は興味・関心を通じたオープンな関係、そこが大きな違いです。

―「興味・関心の繋がり」であるとすれば、140字という制限ではなくもっとリッチな情報のやりとりを可能にするサービスに進化させていく考えはないのですか。

ツイッターのもう一つの本質として、「リアルタイムの情報共有」ということがあります。3人のツイッター創始者のうち1人は緊急通報システムを作っていた人物です。出動可能な救急車が今どこに何台あるかをリアルタイムに知るシステムを作っていました。もう2人はブロガーです。そんな3人のバックグランドもあり、「リアルタイムの情報共有」はツイッターの本質であり、字数制限はその本質をブレさせないための制御装置になっているともいえます。たくさんの情報を書かないといけなかったり、機能が複雑だったりすると、「誰もが思い立ったらすぐ発信できる」メディアでなくなってしまい「本質がブレてしまう」ので当初から140字には固執しています。

―一方で、ハッシュタグのようなサービスを付加しているのは、B to B、B to C使用の利便性拡大を意図しているのでしょうか。

現在の私たちの一番の使命は「利用者の拡大」ではありますが、同時に、ツイートデータの活用による企業向けサービスの拡充も図っていきたいと考えています。私たちは、ツイートデータを企業に提供するサービスを行っています。日本ではまだあまり活用実績がありませんが、広告キャンペーンの分析や、サービス開発や商品開発に際してのコンシューマ・リサーチに大いに活用できるツールだと考えています。アメリカではすでに様々な活用事例があります。面白い例を挙げますと、ツイッターの解析を通じて株価を予測している会社があったりもします。また、消費者のクレーム対応に活用している会社もあります。コールセンターにクレーム電話がかかってくる前に、ツイッターでクレームが上がるんですね。それを見ると、コールセンターにかかってくるクレームが予知でき、スムーズな対応に繋がるというサービスです。

―まさに、「リアルタイムで」「本音をつぶやく」というツイッターならではの活用例ですね。

はい。私たちは、シンブルでユニバーサルであることが一番大切だと考えています。140字という短さ、使用機種や言語を選ばないこと…そうしたことによって、誰でも簡単につぶやける。このシンプルさが、ツイッターの真骨頂なのです。よって、それを集積し解析することで、「世の中の本音」がデータとしてレリーフされるのです。これは、ツイッターでしか起こりえないことだと思います。

―本日はお忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。

気になるテレビ語 groovy word on TV

『選抜高校野球』


「AKB」「韓国」「嵐」等の上位常連ワードが並ぶ中、「選抜高校野球」が3月の検索ワード12位にランキングされ、「高校野球」が50位にランキングされている。「野球離れ」が続くなか、高校野球を楽しむ文化はいまだ健在といえる。野球を楽しむというよりも、地域予選を勝ち抜いた高校生たちが戦うイベントを楽しむ感覚が強いのだろう。そもそも日本人は、「勝ち抜きもの」「選抜もの」が好きな民族といわれる。「M-1グランプリ」「高校生クイズ」等はいわゆる<鉄板番組>といわれ、「AKB48」は<総選挙>というイベントによってファンの熱狂を獲得した。しかし、そんな日本人も、「政治の選挙」となると俄然関心が下がる。おそらく、選挙そのものに興味がないわけではない。テレビというメディアをうまく活用しイベントとして盛り上げることが出来れば、投票率も上がるのではないだろうか。アメリカ大統領選にみる<イベント騒ぎ>に、見習うべき点があるように思う。


『Gガイドモバイル』ユーザ検索ログデータより 集計期間:2012/3/1-3/31

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