• シェイク!Vol.6 どうしたら作れる、面白い企画(1)<br>伊藤隆行(テレビ東京プロデューサー)×米光一成(ライター)×佐藤ねじ(アートディレクター)

シェイク!Vol.6 どうしたら作れる、面白い企画(1)
伊藤隆行(テレビ東京プロデューサー)×米光一成(ライター)×佐藤ねじ(アートディレクター)

異なる業種で活躍する3人がそれぞれの視点で語り合い、新たな価値観を生み出すヒントを見つけるトークセッション「シェイク!」。第6回は、株式会社テレビ東京の『モヤモヤさまぁ~ず2』でおなじみ伊藤Pこと、伊藤隆行さん。『ぷよぷよ』の生みの親でも知られているゲーム作家でライターの米光一成さん。そして面白法人カヤックを独立され2016年7月に株式会社ブルーパドルを設立。現在アートディレクター/プランナーとして活躍されている佐藤ねじさんの3名が登場。 「どうしたら作れる、面白い企画」をテーマに話し合った。今回はその模様を全5回シリーズでお届けする。

三者三様の自己紹介から

伊藤

「シェイク!」6回目、はじまるよ、オー! ということで、まずは自己紹介と「なぜこのイベントに登壇しているのか」について話していきましょうか。

佐藤

佐藤ねじと申します。株式会社ブルーパドルを立ち上げてそこにいますが、元々は面白法人カヤックでデザイナーとプランナーをしておりました。デジタルに関するコンテンツをウェブに限らずいろいろ作っております。ご縁があって発想法やアイデアの出し方についてまとめて『超ノート術 成果を10倍にするメモの書き方』という本にしていただきました(2016年10月14日発売)。

伊藤

この本によるとファミレスに篭ってずっとアイデアを考えるのが若いときからの習慣で至福の時間だそうですね。

佐藤

デザイナーの駆け出しの頃はアシスタントをしているので自分の自由な時間がないんですね。そのころは夜中の2時までやっているファミレスがあったので金曜日の0時頃から2時間くらいそこにいるのと、土曜、日曜の夜までが自分にとって自由なプランニングの時間だったんです。そこでアイデア出しをするのが幸せな時間でした。

伊藤

僕は2011年に『伊藤Pのモヤモヤ仕事術』という本を出しています。懐かしいなあ。さまぁ〜ずの三村さんにこの本を見せたら「なんにも入って来ないな、この本」って言われました(笑)

自分はひとりで考えるというよりも、面白い人から盗みます。自分の中で面白いことが結合するというか。「こういうこと言っている人がいる。おもしろいな」みたいなことが結合していって企画になることが多いですね。

例えば、「人妻温泉」※という企画をやったことがあります。これはもう10年以上前ですが名古屋を歩いていたら人妻が流行っていたんですよ。そこで人妻で何かやろうと考えたときにテレビ東京だったら温泉番組だろうと。人妻と温泉を組み合わせたら「この企画すげえな」となりまして生まれたのが人妻温泉という企画です。中身はあとから考えました(笑)

※ 2001年10月1日から2002年6月24日までテレビ東京系列局で放送されたテレビ東京製作のバラエティ番組。番組が募集した一般女性(人妻)が同じく公募で選ばれた一般男性の自宅まで出張し、バスルームで背中を流しながら人生相談に応じる「癒し系バラエティ」(wikipedia「人妻温泉」より)。

伊藤

自己紹介をしますと、テレビ東京で働いています。1995年入社なので22年目ですね。サラリーマンとして番組制作をしています。 

バブル崩壊後ではあったのですが就職活動のときに3人OB訪問をすれば日銀の内定を取れる可能性が出るぞ、ということが分かりました。良い時代でしたね。そこで、練習代わりにほかの会社の採用試験も受けていたところ、テレビ東京と日テレさんが残り、最終面接の日が重なったのでテレビ東京の最終面接を受けました。練習代わりのつもりでテレビ東京には入る気がなかったので最終面接のときには報道志望とウソを書いていました(笑)

米光

なんでテレビ東京に入ったの?

伊藤

実は僕は色弱なんですよ。幼いころに母親がそのことを苦にして泣いていた記憶もある。なので、映像関係の会社に入るのは難しいだろうと思っていて悔しがっていたんだけれど、試験官のおばちゃんが電話で「たしかに危ないけど大丈夫よ」と言ってくれて内定を取ることができた。それを聴いて日銀を蹴ってテレビ東京に決めました。

米光

恩義を感じたんですね。

伊藤

そうです。それに、日銀に入ったところで何をするんだ? みたいなところもありましたし(笑) 

米光

米光一成と申します。『自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法―“企画の魔眼”を手に入れよう』という本を2010年に出しました。ゲーム作家です。一番売れたのが『ぷよぷよ』。『ぷよぷよ』やったことある方はどれくらいいますか?

客席

(ほとんどの人が挙手)

米光

ありがとうございます。大学を卒業後、広島のゲーム会社に就職して、『ぷよぷよ』を作ったあとに会社を辞めて、スティングという会社で『バロック』や『トレジャーハンターG』というゲームを作りました。現在はフリーランスで、ゲームを作る仕事と教える仕事、ライター活動をしています。

伊藤

たしか俳句もされているとか?

米光

俳句は実はゲームなんですよ。句会というゲーム会があって、仲間が俳句を無記名で出し合って全員がそこから良いのを選んで1位の人が決まる。これが俳句の遊び方なんです。俳句というと教科書に載っている句を読むようなイメージがありますが、あれはゲームの記録を読んでいるようなものですよ。東京マッハという句会(ゲームプレイ)を見せるイベントもやっています。

「王道からあえてズラす考え方」へつづく

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