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2007.November | vol.55

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情報を「得る」時代から、 情報を「捨てる」時代へ。

日経BP株式会社
『日経エンタテインメント!』編集長

品田 英雄さん

いま、「テレビ番組情報」の価値があらためて問われようとしている。かつて、テレビ番組情報誌が一世を風靡した時代があった一方、インターネットの普及、情報チャネルの多様化、さらには「テレビ離れ」という現象がおきつつある今、テレビ番組情報のあり方や意義を、もう一度見直す時期に来ている。創刊から11年間、テレビ番組情報をはじめとするエンタテインメント・コンテンツを独自のスタイルで編集してきた『日経エンタテインメント!』。マスコミ出演等さまざまなフィールドで活躍する当誌編集長、品田英雄様にインタビューさせていただきました。

-これからの「テレビ番組情報の価値」について、品田様の見解をおきかせいただけますか。

多チャンネルという時代になれば、必然的に、ナビゲーションメディアやレコメンデーションメディアのニーズが高まります。BS、CSだけではなく、世界のコンテンツが流通するようになった現在、情報量は、もはや新聞のラテ面ではすまなくなりましたし、生活者は膨大なコンテンツの中から自分が求めるコンテンツにいかに効率よく出会えるか、を考えるようになります。御社が提供するGガイドは、まさに、そういう生活者ニーズに応えるツールのひとつなわけですし、『日経エンタテインメント!』も、ある意味ではそういう情報誌のひとつでもあるわけです。しかし、ナビゲーション、レコメンデーションのツールやメディアが増え、より便利で快適なものに進化していけばいくほど、「エンタテインメント」としては「落とし穴」があると、私は思っています。

-「落とし穴」といいますと ?

「エンタテインメント」というのは、笑ったり、泣いたり、共鳴したり…といった「感動」を与えることだと私は思います。蓋し、「感動」とは、予想しなかったもの、期待していなかったものに出会ったときに生まれるものです。出会うコンテンツのすべてが「求めるもの」「期待するもの」になったとき、はたして、そこに「感動」が生まれるでしょうか。それが、私が感じている「落とし穴」ということです。

-その「落とし穴」にはまらないよう、『日経エンタテインメント!』の編集ではどんなことを考えられているのでしょうか?

『日経エンタテインメント!』の本意は、ナビゲーションやレコメンデーションではなく、「感動」を加速させるメディアであるということです。「感動」には 3段階のステージがあります。1段階目が「発見」、2段階目が「納得」、3段階目が「達成」。『日経エンタテインメント!』は、2段階目の「納得」を提供するメディアであると自負しています。たとえば、『三丁目の夕日』というムービーがあります。そのムービーに初めて出会ったときの感動は、「発見」のステージの感動。そして、その中でこう考える人がいます。「どうして自分は、三丁目の夕日に感動したのだろう? あの感動は何だったんだろう」って。『日経エンタテインメント!』は、作り手の取材等を通じて、そういう人たちに「あの作品は、そういうことなのね」と「納得」を与えるメディアでありたいと考えています。実際は、「裏話情報誌」みたいな感じになってしまっていますけど(笑)。

-今後、コンテンツの数がますます増えていくことで、いわゆる感動の「つまみ食い」状態が加速され、感動を「じっくり味わう」ことをしなくなっていくのではないでしょうか? 品田様はどうお考えになっていますか?

ここ十数年、「情報を得る技術」が売れてきました。各メディアともにそれを追い続けてきたわけで、『日経エンタテインメント!』もその例にもれませんし、フリーマガジンが急成長したこともその表れのひとつではないでしょうか。しかし、ここへきて、「情報を捨てる技術」が売れていく時代の兆しが見えてきていることも確かです。情報を過度に求めない生き方をカッコよしとする若者が出てきています。そういう意味では、コンテンツ情報メディアは大きな転機を迎えていると考えるべきかもしれません。たとえば、webメディアの場合、膨大なコンテンツ量を掲載することができます。しかし、それらをすべてフラットに見せてしまうと、受け手側は混乱します。一方、先ほども申し上げましたように、レコメンデーションから入っていくと、そこには感動がありません。このあたりをどう見据えてメディアを作っていけるかが、これから重要になってくるでしょうね。

-なるほど、興味深いお話ですね。弊社が提供するGガイド、Gガイドモバイルにもあてはまることですね。

携帯電話から番組表が見れて、その場で録画予約までできる。すごく便利で快適。私も、よく使っています。ただ、たいへん僭越ではありますが、その便利さ、快適さだけを追求していくだけではたしてよいのかということは、今後議論されていくことかもしれませんね。

-本日は、貴重なお話をありがとうございました。

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