• シェイク!Vol.12 見せ方一つでデータを面白くする(1)<br>小国士朗(NHK制作局)×有沢慎太郎(NHK編成局) ×田中直基(Dentsu Lab Tokyo)×金沢慧(データスタジアム) ×森永真弓(博報堂DYメディアパートナーズ)

シェイク!Vol.12 見せ方一つでデータを面白くする(1)
小国士朗(NHK制作局)×有沢慎太郎(NHK編成局) ×田中直基(Dentsu Lab Tokyo)×金沢慧(データスタジアム) ×森永真弓(博報堂DYメディアパートナーズ)

異なる業種で活躍する5人がそれぞれの視点で語り合い、新たな価値観を生み出すヒントを見つけるトークセッション「シェイク!」。

第12回は、「見せ方一つでデータを面白くする」と題して行いました。今回は3人では5人編成で、博報堂DYメディアパートナーズの森永真弓さんをはじめ、NHK 人工知能×野球解説 「ZUNO(ズノ)さん」プロジェクトに携わるNHK有沢慎太郎さんと小国士朗さん。Dentsu Lab Tokyoの田中直基さんとデータスタジアムの金沢慧さんでの実施となりました。3人ではなく5人でしかも1つのプロジェクトを絡めたトークセッションということで、今までのシェイク!とはひと味違う1つの事象を掘り下げるトークの面白さを全5回で掲載。

野球の解説者をめざすAIのZUNOさんって?

森永

今日のテーマは「見せ方一つでデータを面白くする」。AIを使って番組を面白くしていこうという取り組みが、最近増えています。たとえばAbemaTVやニコニコ動画でやっている将棋の番組は、先手と後手のどっちが有利なのか、AIによるシミュレーションデータが示されています。局面が変わると、グラフがダイナミックに変わったりする。ニコニコ動画のAIのディープラーニングのチームが、先を予測してこのまま進行するとこっちのほうが有利だよ、と示すことで、将棋のルールがわからなくても楽しく番組を見ることができる。いまNHKでは、AIのZUNOさんに野球の解説をさせるという取り組みを始めています。そのご紹介のムービーを見ていただきましょう。

森永

(ムービー内容:過去13年間の300万球を超える投打のデータを入力されたAIのZUNOさんが、野球の解説にいどむ。日本ハム大谷翔平投手の配球予測に挑戦すると、見事に的中。正確な予測の秘密はディープラーニング。「試行錯誤をくりかえすことで、人間の脳のなかの配線が変わっていく。インプットとアウトプットの組を大量に与えることで、くりかえし学習していくんですね」と、ZUNOさんのプロジェクトに関わる工学博士の徳井直生が語る。さらにZUNOさんは野球解説者の高橋尚成とも対決。見事的中させ、高橋に「なかなかやるなあー」と驚かれるのだった)。

このZUNOさんを作ったひとたち、小国さん、田中さん、有沢さんと、データ提供をしたデータスタジアムという会社の金沢さんに来ていただいています。
いちばん端から、データスタジアムの金沢さんです。

金沢

金沢と申します。

森永

データスタジアムという会社は、野球やサッカーなどのスポーツのプレイデータを取得、分析、提供しています。アルバイトがたくさんいるんですよね?

金沢

100人から200人ぐらいいます。

森永

試合の日にデータスタジアムさんのオフィスに伺うと、画面の前にトレーニングされた若者がたくさんいてパソコンにひたすらデータ入力してる様子が見られるんですよ。たとえば大谷投手の球種は何、とすでに頭の中にデータが入っていて、投げた瞬間にこれはスライダーで球速何キロ、と打ち込んでいる。Yahoo!の速報に流れるような情報のおおもとのデータを作られている会社です。そのなかでも最も今日にふさわしいであろう、いちばんのデータオタクである金沢さんに来ていただきました。

金沢

よろしくお願いいたします。

森永

続いてZUNOさんの制作に関わった3人です。

小国

小国と言います。NHK制作部の開発推進という部署でディレクターをやっています。ぼくはテレビを作らないディレクターを表明していて、もうこの2年テレビ番組を作っていません。そのかわりに番組のプロモーションやブランディング、デジタル制作全般をやっています。3年前、企業研修の形で9ヶ月間電通PRに出向して、PRの勉強をしました。戻ってきてから、ぼくはNHK内では「一人広告代理店」って言ってるんですけど、社内・社外の課題を聞いて企画を考えて実施する、ということをやっています。そのなかのひとつがZUNOさんでした。これを(田中)直基くんといっしょに始めたのが、2年ぐらい前だよね。

田中

そうですね。

小国

企画を直基くんと立ち上げて、こちらの有沢に相談をしながら作っていきました。

田中

田中と申します。電通のなかにDentsu Lab Tokyoという、デジタルテクノロジーとアイデアで新しい表現やソリューションに取り組む部署というか出島みたいなものがありまして、そこで活動しています。

金沢

100人から200人ぐらいいます。

小国

直基くんはZUNOさんの中心の、もうど真ん中のメンバーです。それからこちらが、NHKの編成局の有沢です。先輩なので以後、有沢さんって言います。

有沢

それだけ年食ってるんでね(笑)。

小国

いやいや(笑)。

有沢

小国くんと田中さんたちの企画を、ぼくが編成という立場で採択しました。採択当時はBS1を担当していて、今は総合テレビのスポーツを担当しています。前の部署では、デジタルコンテンツセンターというところでNHKのインターネット基盤の開発をしていまして、そういう縁もあり、面白そうだなと思って関わっています。

森永

いやーもうZUNOさん大好きなので、よくぞ採択してくださったと勝手に感謝していました。そして私は本日モデレーターをつとめさせていただきます、博報堂DYメディアパートナーズの森永と申します。あ、阪神ファンです(ジャケットの前を広げると阪神のマークが!)。

小国

ユニフォームだ(笑)。

森永

ユニフォーム着てきました! ということで、ZUNOさんについてお話を伺いたいと思います。

次回 ZUNOさんはどう作られた?へつづく

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