• シェイク!Vol.14 「今」(1)<br>竹中 功(株式会社モダン・ボーイズCOO)×野村 和生(フジテレビ)×谷口 マサト(LINE)

シェイク!Vol.14 「今」(1)
竹中 功(株式会社モダン・ボーイズCOO)×野村 和生(フジテレビ)×谷口 マサト(LINE)

異なる業種で活躍する3人がそれぞれの視点で語り合い、新たな価値観を生み出すヒントを見つけるトークセッション「シェイク!」。第14回は、「今」どんなことが起こっていて、どこに向かっているのかをあぶり出す3名による白熱のトークセッションとなった。元吉本興業出身で、現在は謝罪マスターとして多岐にわたる活躍をしている竹中功さん。シェイク!には2回目の出演となるフジテレビFOD事業執行責任者の野村和生さん。そしてLINE株式会社にて、様々な話題となる企画を夜に送り出している谷口マサトさん。この三人による時代とコンテンツの捉え方について、その模様を全5回シリーズでお届けする。

あれが時代の変わり目やってんな

竹中

こんばんは。まずは自己紹介から。

谷口

LINEでコンテンツを作っている谷口と申します。コンテンツマーケティングといわれる、広告とコンテンツを組み合わせた、いわゆる一社提供の番組みたいなものなんですけど、それをニュース記事や漫画や映像などさまざまな方法で作っています。最近では、JK用語を特集した動画「ワンチャンワンドキ!JK用語でJKの1日を再現してみた」ですね。

野村

フジテレビの野村です。動画配信サービスFODの責任者になって6年目になります。運営的な業務もやりますし、『めちゃ×2ユルんでるッ!』『めちゃ×2タメしてるッ!』というオリジナル番組の制作や、最近ではFODオリジナルドラマのプロデューサーもしています。

竹中

おふたりはヤングな仕事をしてはるんですけど、ぼくは吉本興業という会社に37年前に入りまして、よしもとNSC(吉本総合芸能学院)の開校に関わりました。1期生で来たのがダウンタウンの松本くん浜田くんですね。同じころ「マンスリーよしもと」という雑誌を作り、初代編集長を勤めました。雑誌は今ではオールドメディアですが、ぼくらの時代はそれしかお客さんと交流をするものがなかった。創刊が1981年、一台の固定電話を上司と取り合う時代ですからね。FAXもメールもないですよ。そんな昭和からやってきたんで、今日はおふたりに「今」を教わりにきました。(早速本題)しかし、AbemaTVの『72時間ホンネテレビ』はすごかったですねえ。あれはやれると思ってなかった。

野村

衝撃ですね。

竹中

あれが時代の変わり目やってんなーって、歴史に残るんじゃないですか。

谷口

ネットの動画元年、来ましたね。ずっと来る来る詐欺だったんですけど(笑)。

野村

『72時間ホンネテレビ』(稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾による72時間ぶっ通しの生放送)をチラ見もふくめて見た方どのくらいいますか?(客席に)。あ、けっこういる。あれはもう、すごいですよ。うちは『めちゃユル』をとんでもなく安い制作費で30時間ぐらい作っているわけですよ。例えば技術費であれば、基本1カメです。辻稔という『めちゃ2イケてるッ!』だけでなく『アメトーーク!』『ロンドンハーツ』も担当しているスーパーカメラマンが一人で20時間以上撮っています。だから安くできているわけです。スイッチャーもいらないですしね。でも、『72時間ホンネテレビ』は明らかにカメラ台数が違う。どれだけの人数かけて作ってるんだろう。制作費10億円以上だろうって予想してる人いましたけど、お金かけすぎ。

谷口

以前にAbemaTVの方と話したときに、テレビクオリティでやると繰り返しおっしゃっていて。

野村

それが要るのかってことですよね。

谷口

あえてそこでやってるんだろうなあと。今後も長い期間そのクオリティで続けるのかはわからないですけど。

竹中

浜田と千原ジュニアがね、車ぶっ壊すやつやってましたやんか。

野村

『戦闘車』ですね。Amazonプライム・ビデオで独占配信しているバラエティ番組です。

竹中

あれ地上波でできへんわけでしょ。

野村

はい。

谷口

やると謝罪になるんですか?

竹中

車会社が「なんでうちの会社の車ばっかり潰すんや」とか言うんちゃいますか。

谷口

映画『007』シリーズではよくBMWが潰されてますけどあれはなぜOKなんでしょうね。潰し方なんですかね。

野村

まあ『戦闘車』は、車を大切にしてないっていうのが、地上波ではよくないでしょうね。

竹中

大切なものを潰してるのに笑うたらあかんってことですよね。でも、桂枝雀さんの「緊張の緩和」やないけども、車潰したらあかん、大事なもんやでって言うてんのをデーンとぶつけて、イシシシシーって浜田が笑って、みんなも笑うわけでしょ。極楽とんぼの山本が「ぼく地上波出れませんからーETCのカードだけ抜いてくださーい」って叫んで。

谷口

Amazonも地上波テレビにできないことを狙ってきてますよねえ。

竹中

テレビというこの60年の歴史しかないメディアがですよ、いま狙いの的ですよ。テレビを超えるとかテレビより面白くしたいって言われるわけですよ。

野村

自分はAbemaTVよりAmazonプライムのほうが怖い存在です。

谷口

へえー。

野村

彼らってハードとも結びついちゃってるんで。たぶん10年もしないうちに、チューナーのついてないモニターだけのテレビを出してくると思うんですよね。4K対応の60インチのモニターがイチキュッパです、みたいな。そんなことされたら……。我々はいままで良くも悪くも寡占状態だったわけです。地上波の6、7チャンネルで勝負していればよかった。それが一気に勝負する相手が世界に広がってしまう。AbemaTVは、サイバーエージェントの資本力ではこの先はきついだろうと見ています。大手キャリアがくっつくとか、そういうことがあれば状況は一変するとは思うんですけど。

竹中

AbemaTVは年間なんぼかかってるんですか?

野村

200億って言われてます。でも、足りないですよ。25チャンネルくらいやってますから。うちのCSでは100億くらいで3チャンネル運用してますから、1チャンネルあたり33億かかってます。25チャンネルあるなら25×33億がほんとは必要なはず。だから、テレビと戦おうとするには資金力が足りないんじゃないのと。ただ、サービスのUIデザインはすごい。いま、地デジのチャンネル変えるのって3秒くらいかかるじゃないですか。1から選局始めたら8まで来ないんですよ。AbemaTVはすぐ選局できますよね。あのテクノロジーにちゃんとしたコンテンツがくっついたらほんとにやばい時代だなーって思いますね。

[ 次回 テレビとネットでは距離感覚が違う へ続く ]

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